その唇で甘いキスをして…
ハルさんは少しビックリしていた。

「どうした?」

「ごめん、そんな気分じゃなくて…」

ハルさんは黙ってアタシを見てる。

「何があった?」

「何でもない。ただ今日は疲れてて…」

「そんな言い訳はいい…何があったか聞いてる。」

ハルさんは何かに気づいてる。

「カオルに何かあったか?」

またハルさんを心配させてる。

一度失った信頼はアタシとハルさんの仲を簡単に壊してしまう。

「何にも無いよ。

ゴメン…ハルさん。」

アタシはハルさんに悟られまいとハルさんの腕の中に戻る。

ハルさんはアタシを抱きしめもしないで

「疲れてるなら…今夜はやめておこう。」

と背を向けてしまった。

ハルさんはきっとわかってる。

アタシがカオルのことを考えてることを…

そしてまた傷ついてる。

アタシはハルさんを後ろから抱きしめる。

「ハルさん…信じてるよね?」

「ああ。」

ハルさんの乾いた返事が帰ってくる。

「やっぱりハルさんが欲しくなっちゃった。」

アタシがそう言うとハルさんは

「ジュン…オレをバカにするな。」

と振り向いてもくれなかった。

アタシとハルさんの歯車がまた少しずつ噛み合わなくなった。



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