その唇で甘いキスをして…

ジョウさんはアタシとカオルの両方をよく知ってる。

カオルの相談にもアタシの相談にも良くのってもらった。

そしてジョウさんの話は続く。

「あの時、俺と離れてお前がカオルに溺れた時、
お前はカオルと暮らして初めて同じベッドに寝て
自分を抱かない男に会った。

それはものすごく珍しい事だったが
お前はそんなカオルに惹かれた。

カオルは生きるために若い頃から死ぬほど苦労したからそのストレスなんだと思うが
未だにアイツはそのトラウマを抱えたまま生きてる。

カオルは同じように親から愛を受けずに苦労して生きて来たお前を最初は放っておけなかった。

そんなお前の生き方が自分と重なって
見てるのが辛かったそうだ。

それがいつの間にか徐々に愛に変わってった。

お前は魅力的だったからな。」

とジョウさんは笑った。

アタシは本当に浅はかだった。

思えばジョウさんがアタシの初恋だった。

愛を受けずに育って、悪い大人に汚されて
アタシは愛なんか知らずに生きて来た。

ハルさんに拾われるまで…誰にも愛されなかった。

そんな時ジョウさんに出逢って
18才で右も左もわからない場所に来て
戸惑ってばかりのアタシを
ジョウさんが何から何まで面倒を見てくれたのだ。

すごくカッコよくて強くて…だけど優しくて…

アタシはすぐジョウさんが好きになった。


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