その唇で甘いキスをして…
「ジョウさんだってアタシをいきなり抱いたりしなかったでしょ?
アタシはジョウさんに愛されたくて
そんなチャンスはいくらでもあったのに…
なかなか手を出さなくて…1番出しちゃいけない時に手だしたよね。」
ジョウさんはアタシが1度目の結婚届けを出す日に
初めてアタシにキスをした。
もちろん夫はジョウさんではない。
アタシはハルさんとナナコさんの結婚がショックで
その時付き合ってたタケルと衝動的に結婚をした。
タケルは家族が居なくて
施設で育った人で家庭に憧れてた。
それはアタシも同じで自分の家庭が欲しかった。
初めて真剣に告白されて
付き合った。
カラダの関係から恋愛を始めてたアタシにとって
タケルはカオルみたいに貴重な存在だった。
たった1年しか一緒に暮らせなかったのは
ジョウさんとのそのキスが原因だった。
それで気持ちを乱されて、
タケルはジョウさんとアタシの仲を疑った。
もちろん結婚前のキス以外
ジョウさんとは何もなかったけど…
アタシたちは常に一緒だったから。
アタシは気持ちの整理がつかなくて
結婚した後もずっとジョウさんを男として意識してた。
「悪い事したよなぁ。
でもお前はいずれタケルとは別れてた。
あんな風に結婚してうまく行くはずがない。」
確かに今から思うとあの結婚は間違ってた。
タケルの事はそれなりに愛してたけど…
離婚してアタシとジョウさんは初めて男と女になった。
それまで出逢ってから6年の月日が経ってた。