その唇で甘いキスをして…
キスされそうになった時、
ハルさんの悲しむ顔が浮かんだ。

アタシはキツく眼を閉じた。

カオルがキスしたのは唇じゃなくアタシのオデコだった。

「覚悟なんて出来てねぇじゃん。

そんな顔してんのにキスなんか出来るか?」

アタシの覚悟はそんなものだった。

そしてカオルは突然アタシの胸を触った。

「感じるか?」

正直、ハルさんに悪くて
そんな気持ちになれなかった。

次にカオルはアタシのスカートの中に手を入れた。

「ここ、触ってもいいのか?」

カオルの指が触れそうになって
アタシは身体をひいた。

「お前の覚悟はこんなもんだ。

でも、嬉しかった。ありがとな。」

結局アタシはハルさんを裏切れなかった。

「ジュン…ハルキさんが好きならこんなバカなことするな。

それと…今日ここに来た事はハルキさんに言うな。

てか誰にも言うな。

お前とオレだけの秘密な。」

そう言ってカオルはアタシと指切りする。

「オレたちは友達だろ?

ハルキさんに言えないことが俺たち2人の中にあっても罪じゃない。

お前はハルキさんを裏切らなかったんだから。

それで良いんだよ。」

アタシが泣くとカオルはアタシの髪を撫で
優しく抱きしめてくれた。

その腕に抱かれるとやっぱり安心した。







< 69 / 131 >

この作品をシェア

pagetop