恋デート 【絶対にキスをする】
「……“カレシにしてもらった”って、何その言い方」
「え、だって俺、つきまとって拝み倒してカレシにしてもらったみたいなもんでしょ?」
「そんな言い方しないでよ?なんかあたしだけが凌空と付き合えたこと浮かれてたっぽくてさびしい。……凌空のこと、ちゃんと好きなのに……」
あたしの言葉を聞いた途端、凌空が言葉にならないとでも言うように頭を抱え込んで、呻くように「マジかよ」と呟く。
しばらく身悶えていた凌空はやっとあたしを見ると、恥ずかしそうに笑いながらあたしをからかってくる。
「もう今の取り消せませんから。俺好きって言ったの」
「………バカ。取り消さないし」
「はは、美咲先輩、顔真っ赤」
「………凌空だって真っ赤だよ」
両思いであることが、ふたりきりでいることが、急に気恥ずかしくなってお互いうまく喋れなくなってしまったけど、全然気まずくなんてなくて。
ただただしあわせで、こそばゆい。
「ねー凌空。もう観覧車終わっちゃうね……」
結局隣には座ってもらえなかったことにちょっとがっかりしていると、凌空は急に真剣な顔して思いがけないことを言ってきた。
「じゃあもう一回、観覧車乗りましょ?」
「いいの?」
「……けどもっかい乗るなら、次は隣座って、そんでキス、しますから。……めちゃめちゃビビりまくって超ヘタクソかもしれないけど、笑われたって俺、絶対美咲先輩にキスしますから!」