恋デート 【絶対にキスをする】






二人で係員さんに謝った後、もう一回列に並んだ。

カップルで混み合ってて、ゴンドラの順番が来た頃にはもう辺りは暗くなり始めていた。

凌空は宣言通り、今度はあたしの隣に座ってくれる。



凌空はしばらくじっと動けずにいて、待ってるあたしもたぶん同じくらい緊張してた。


「美咲先輩、めちゃくちゃ好きです」


そう言うと見るからにガチガチになってる凌空は、ゆっくり顔を寄せて来た。


二人しかいない場所でキスして、チュってリップ音が鳴っただけで恥ずかしさが100倍になった。

でもくちびるが離れて間近で見詰め合ってると、死ぬほど恥ずかしいのにもう一度キスしたくなるのが不思議だった。


「美咲先輩」


何度目かのキスの後。しあわせそうな夢見心地の顔をしていた凌空は急に表情を引き締めて宣言してきた。


「お、俺!い、いつか美咲先輩のこと、その。………全部奪っちゃいますから!!」


精一杯のキメ顔のつもりなんだろうけど、緊張でちょっと視線が泳ぎそうになってるとこがかわいい。


「うん。そのときはお手を柔らかにお願いね?」

「お、おてをやわらか??」

「凌空ならいいよって意味」


凌空はあたしの囁きにぶわっと顔を赤く染めて、観覧車がゆれるくらい勢いよくあたしに抱き付いてくる。


「うおおぉぉお!!マジ可愛すぎて俺今幸せで死ねる!間違いなく今死んでる!!!俺美咲先輩好き過ぎて死ねますから!!」


わけのわからない言葉と強すぎる抱擁であたしを好きだと訴えてくる凌空に、あたしもきゅっと抱き締め返す。



……うん、あたしも凌空といられてしあわせだよ。



観覧車は終わることなく廻り続ける恋を彩るように、七色のライトが点灯し始める。


あたしたちはそんなお約束すぎる場所で、恋人同士の甘いキスをもう一度交わした。





<end>


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