恋デート 【絶対にキスをする】
「次、どのアトラクション行きます?………って、え……美咲先輩……っ!?」
窓の外から正面に座るあたしに視線を向けた途端、凌空が動揺して立ち上がった。
「ちょ、え……ええっ!?や、えっと、マジどうしたんスか?」
「………なにが?」
「なにがじゃなくて……なんで泣いてるんですか」
普段血も涙もない女と言われているあたしが泣いているから、人の好い凌空はおろおろしだす。
……可愛い。
お調子者だけど、凌空はほんとはすごい周りを気遣えるやさしい子だとあたしは知ってる。
……大好きだったよ。
あんなに明るく人懐っこかった凌空を変えてしまったのはあたしだ。
それほどまでにあたしという存在が重荷なら……ほんとは重荷でもなんでも凌空を縛り付けておけるならいいと思っていたけど……あたしは凌空を自由にしてあげなきゃいけない。
あたしを好きじゃなくなってしまった凌空の隣で、何も気付いていないフリを通すのはもうつらかった。
「凌空」
「は、い」
「………別れよっか?」