恋デート 【絶対にキスをする】

「凌空、あたしのこと、もう前ほど興味なくなったんじゃん?」


最近凌空はあたしのことを、前みたいに「きれい」とか「可愛い」って言ってくれなくなった。

クールな年上のフリをしていたくて鬱陶しがる顔をしてたけど、でもほんとは凌空に褒められるたびにドキドキしてすごくうれしかった。


「部活のメンツとこの遊園地来たときはあんなすごいはしゃいでたのに、今日はなんかずっと大人しくしててつまらなそうだったし。前までなら観覧車乗ったら迷わずあたしにぺったりくっついて、隣、座ってきたじゃん?………なのに今日は向かい合わせに座って、一人で外ばっか見てるし」


そんなこと、と思われるかもしれない。


でも周りと壁を作っちゃうあたしに、凌空はいつも当たり前みたいに踏み込んで来てくれた。

平気で人前で抱き付いてきたりキスするマネをしてきたり。恥ずかしがることなく、堂々とカノジョのあたしにスキンシップをはかってきた。

それが凌空だった。だから隣り合うことが出来ない向かい合わせのこの距離が不安だった。


そんな気持ちを残らず伝えたら、黙って聞いていた凌空が怒ったように言う。


「そんなこと言われても。俺、もう前みたいに美咲先輩に接することは出来ないよ」

「…………うん」

「だって俺、マジで美咲先輩のこと好きだって気付いちゃったから」


思わず凌空の顔を見ると、凌空は顔を背けてぶっきらぼうに言ってくる。


「そりゃ俺、とにかくアピールするために片思いのとき、自分で後から考えても引くくらい押せ押せで迫りまくって美咲先輩に慣れ慣れしい態度とりまくってたけど。
でもいざ『めちゃくちゃ大好きな人が俺のカノジョになってくれたんかっ!!』って思ったら、急に、その、……なんつーか。もー、マジでじわじわ意識しちゃって。
好き過ぎていろいろうまく出来なくなって……もともと俺が美咲先輩のこと好きってちゃんと知ってたけど、ホントの意味で気付いたっていうか……」


気持ちが大きすぎて持て余してしまうとでも言うように、凌空は頭を抱えだす。





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