似た者同士。



帰れば良いのは分かっているけれど、意地っ張りの私は
帰れない。
謝ることが、苦手だから。

でも、どうしよう・・・。

不安と焦りでいっぱいになっていると、
誰かが走ってくる音が聞こえた。


こんな時間に、誰・・・?


私は怖くなってドラム缶の中で小さくなった。


すると足音が近付いてきて・・・


「やっぱりここにいた・・・。何してんだよバカ」

「魁人・・・」

「部活から帰ってきたらおばさんから電話来たぞ。
 紗友莉が帰って来ないって。
 迷惑なヤツ」

「迷惑って思うなら来なきゃ良いじゃん、生意気小僧」

「俺が連れ戻さなくて誰が連れ戻すんだよ。
 紗友莉が意地っ張りなことは、俺が一番知ってんだよ」

いつものように憎まれ口を叩く魁人。


そんな当たり前のことが急に嬉しくなって、
私は今まで我慢してきたものが溢れるのを感じた。

「・・・はぁ・・・なに泣いてんだよ」

「うっ・・・、ご、ごめん。
 すぐ泣き止むからぁ・・・」


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