クールな御曹司にさらわれました

「タマが好きだ、やはり」

急にそんな事を言われ、私はごまかし損ねて頬を熱くした。

「突然なんですか」

「再確認しただけだ。タマは俺の妻になるべきだとな」

「あのですねぇ、尊さん」

私は彼の顔を見つめ、赤い頬のままだけれど、はっきりと口にした。

「引き返すなら、今ですよ？」

「どうして引き返すんだ？」

尊さんに意味が通っていない。私はあわてて付け加える。

「尊さんは、勘違いで私に恋しているかもしれないです」

尊さんが変な顔をする。

「悪いがタマは錯覚を起こせるほど、美人でもない」

「本当に失礼だな、この人」

「心で惚れた女だ。初恋かもしれないが、間違えていない自信はある」

「どうしてそんなに自信満々？簡単に結婚だなんだと口説くべきじゃないです。私が尊さんの本当に必要な運命の相手じゃなかった場合、お互い後悔しますよ」

私の訴えに尊さんが考えるように視線を泳がせた。そして一言。

「……不安にさせてしまったか？」