クールな御曹司にさらわれました
「御台寺さん、御曹司・尊氏がいない間に奪っちゃえばよかったのでは?」

「それも考えたけれど、やはり上司が相手でしょう?失職は困るし、それに妙さんの気持ちがあるから」

「どっちみちタイムリミットですね。今日の夜でしたっけ、御曹司が帰国するのって」

小森が言って、サラさんがニコニコ頷く。

「……ねえ、ふたりとも、私、太った?太ってる?ねえ」

ふたりは真実を教えてくれなかった……。どうも、本当に太ったみたい。

どうしよ。
本日、私は尊さんと再会するというのに……。




尊さんが中東の産油国に出張し早半年。初夏だった季節はすっかり冬だ。
半年間一度も会うことはなかったけれど、尊さんと私は、一応両想いで交際している。

半年間、私は元のアパートに戻り粛々と日々を過ごした。
父は会社の寮で暮らしているので独り暮らしだ。その父は、なんとか逃げ出さずにレオマーケットグループ参加の企業で頑張っている様子。

私の毎日の仕事は、以前のように陰湿ないじめがなくなった分やりやすくなった。
尊さんと関わるようになってから、なんだか長い物に巻かれる生活ができなくなってしまい、結構主体的に仕事ができてるみたい。
先月は本社社内公募の新規戦略案で、優秀賞をもらった。これは、結構嬉しかった出来事。
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