ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
……そんな笑い顔って、ホントずるいと思う。
この人って、無自覚なんだろうけど、でももしかしたら、天然を装った生粋の色男なんじゃないのかなとも思えてくる。
だって、本気でずるいくらいに、かっこいい……。
そんな風にも思っていたら、車が家に着いて、
「……車を車庫に入れたら、玄関へ来なさい」
言われて、「はい…」と、頷く。
本人は照れ隠しのつもりなんだろうけど、その不意の命令口調にだって、なんだか顔が赤らんでくる。
蓮見会長とはお付き合いをさせてもらうようになってはいても、家で2人っきりで過ごしたことは、まだ一度もなくて、
(……どうしよう…なんか、急に恥ずかしくなってきたかも……)
車から降りて、玄関に向かいながら、顔の火照りが隠せなくなって、自分の頬を両手で押さえた。