ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
バスタオルを巻いたままで身体を沈めると、後ろから腕をまわして抱え込まれた。
「……そんなに、くっつかなくても……」
離れようとするのを、
「……なぜ?」
耳元で訊ねて、首筋に頬を寄せる。
「……だって、あの……」
「……もっと、君とくっつきたい」
腰にまわされた腕に、ギュッと力が籠って、
その拍子に、バスタオルがはだけて、浮き上がる。
「…あっ」
と、隠そうとするのを、
「……隠さなくても、いいだろ? こんなに綺麗なんだから……」
抱き締められ、顔を振り向かされて口づけられた。
とぷんとお湯が揺れて、波立つ。
「……好きだよ…」
囁かれて、ああまた取り込まれてしまうと感じる。
「…好き…私も……」
いつだって、気持ちがいつの間にか引っ張られて、
この人の前では、どんなガードも無意味になる。
指先でわずかに開けられた唇に、舌が滑り込んで、
「…ん」と、小さく声が漏れる。
重ねられるキスに、たぷたぷと水面が揺れ動く。