ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

「……先に、上がっていていいから」

唇を離して、見つめて、

「……ベッドで、待っていなさい」

また、命令するようにも言う。

「……うん…」

彼には、抗う術なんかなくて、そうして身をまかせてしまいたくもなる……。

……ただ、気持ちも身体もゆだねていたくなる……。

好きで……もっと好きでいてほしくなる……。

ベッドの中で、下着代わりのTシャツを着て、布団にくるまっていたら、

お風呂上がりの蓮見会長が、着流し姿で出てきて、その色香に、本気で鼻血でも出るんじゃないかと思った。

和装とか、艶っぽすぎてやばいですから……ちょっとはだけたような胸元なんて、目も合わせられないっていうか……。

持ってきたお酒をベッドサイドのテーブルに置いて、

「……少し、酒でも飲まないか?」

と、グラスに注ぎ入れる。

グラスを手にして、これって……あの、いつものパターンなんじゃないのかなと思う。

……お風呂上がりの気持ちよさに、グラスを重ねて、酔っちゃってという展開が浮かんで……、

そうして、それは想像通りに……もはや当然のごとく、何杯目かのグラスで、とろりと眠たそうにベッドの背もたれに身体を寄りかからせたーー。



< 108 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop