ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
「……先に、上がっていていいから」
唇を離して、見つめて、
「……ベッドで、待っていなさい」
また、命令するようにも言う。
「……うん…」
彼には、抗う術なんかなくて、そうして身をまかせてしまいたくもなる……。
……ただ、気持ちも身体もゆだねていたくなる……。
好きで……もっと好きでいてほしくなる……。
ベッドの中で、下着代わりのTシャツを着て、布団にくるまっていたら、
お風呂上がりの蓮見会長が、着流し姿で出てきて、その色香に、本気で鼻血でも出るんじゃないかと思った。
和装とか、艶っぽすぎてやばいですから……ちょっとはだけたような胸元なんて、目も合わせられないっていうか……。
持ってきたお酒をベッドサイドのテーブルに置いて、
「……少し、酒でも飲まないか?」
と、グラスに注ぎ入れる。
グラスを手にして、これって……あの、いつものパターンなんじゃないのかなと思う。
……お風呂上がりの気持ちよさに、グラスを重ねて、酔っちゃってという展開が浮かんで……、
そうして、それは想像通りに……もはや当然のごとく、何杯目かのグラスで、とろりと眠たそうにベッドの背もたれに身体を寄りかからせたーー。