ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

「うわっ、な…何も! すいません、ごめんなさい! すぐにほどきますから!」

慌てて結んだ先に手を伸ばすのに、

「……うん?」

と、縛った柱へと視線を送って、

「……私を、縛ったのか?」

また、視線が戻された。

「……君は、私に、こんなことがしたかったのか?」

咎められてるように感じて、

「……すいません…」

返す言葉もなくて、涙目にもなりそうになるのに、

「……君を、責めてるわけじゃないから」

言って、

「……このまま、キスしないか?」

じっと見つめられる。

「……キスって…だって…」

両手首の縛られた妖艶な姿に目を落として、

「……だって、そのままでいいんですか……」

恐る恐る訊ねると、

「…いいだろ…こういうのも……」

熱っぽい眼差しが絡んで、

「……顔を、私に近づけて……」

言われるまま、顔を寄せると、

「…んっ」

と、唇の先で触れられた。




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