ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
結んでいるのを解くと、
「……手が、痺れたな…少し」
と、手首を撫でさすった。
「ごめんなさい…」
「…なぜ、謝る? うん…?」
不意に寝返りを打って、身体が組み敷かれる形になる。
「……今度は、私の番だな…」
その薄い唇の端が、艶然と引き上がる。
……彼の艶からは、逃れられない……どうしよう……できるなら、華さんが一足でも早く帰って来てくれたらと、そう願わずにいられなかった……。
終わり