ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
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ーー自分の家に帰り着くと、どっと疲れが襲った。
なんか、流れが早過ぎっていうか……。
なんだかよくわからない内に、あの蓮見会長の運転手まで引き受けちゃったし……。
蓮見会長……思ったよりも若かったけど、でも息子がいい年だとか言ってたから、結婚してもうずいぶんとたつのかな……。
未だに、今日あったことが信じられないんだけど……と、思う。
でも、明日には会長の車の運転手を、私がするんだよね……嘘みたい。
頭の中が急な展開に付いていけなくて、グルグルと様々なことが回る。
ベッドに潜り込んで、
……それにしても、蓮見会長ってかっこよかったな…。
あそこまでスーツが似合う男の人なんて、今まで見たこともないくらいに……。
なんなんだろう……あの匂い立つような麗人ぶりってば……。
思い起こせば、スーツに纏っていたムスクが鼻先に香るみたいで、
「……明日から、しっかりやれるといいんだけど……」
と、鼻を軽く擦って、スマホのアラームをセットして、毛布を頭からかぶった……。