ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
ーー翌朝、住所を頼りに、会長の家を探し当てると、そこは都内の一等地にある住宅街のど真ん中で、
その邸宅の大きさもさることながら、敷地の広さにも驚かずにいられなかった。
「…何、このデカさ……」
思わず、感嘆の声が出る。
「HASUMIの会長ともなると、レベルが違いすぎっていうか……」
しがない庶民には付いていけない気もして、玄関の前で立ちすくんでいたら、不意に黒鉄の門がスーッと開いた。
「…うわ、開いた! まだなんにもしてないんだけど…何?」
びっくりしていると、門の横のインターホンから、
「入ってきなさい」
と、蓮見会長の声が響いた。
「…見てんのかな? どっかから…」
キョロキョロとしながら、門の中へ歩いて行く。
玄関の前まで来ると、またしても急に扉が開いたーー。