ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
ーー食事をし終わって、しばらく頬づえをついて、ぼんやりと考え込んでいた。
「この後、どうしようかな……」
ただ待ってるっていうのも、退屈なもんだなと思う。
暇なので、スケッチブックを出して、社内の風景をなんとなく描いてみる。
社員さん達は、思い思いに好きなものを食べながら喋っていて、ストレスもなさそうに笑い合ってる雰囲気は、イラストにもしやすかった。
スケッチブックの数ページが埋まった頃になって、会長から連絡が入って、
「……これから、紅茶でも飲みに行かないか?」
と、言われた。
「紅茶ですか?」
「ああ、ちょっと時間ができたんで、ゆっくり君と過ごしたいと思ったんだが」
「わかりました…」と、電話を切って、一階のエレベーターホールまで降りたーー。