ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

「いいえ緊張だなんて、むしろ大歓迎なくらいで…」

「大歓迎…?」

不思議にも感じて、尋ねると、

「蓮見会長がいらしてくれると、お店は喜ぶほどですから」

と、話した。

「……喜ぶ?」

会社のトップが訪れるのを、大歓迎な上に喜ぶだなんてと疑問にも思っていると、

「あれ、見てください…」

と、指を差された。


見ると、店内に立つ蓮見会長が目に入って、

ブルーグレーのスーツに身を包んで、長身をスッと伸ばした洗練された立ち姿は、店の内外から視線を集めていた。

「…ああ、そういうことですか…」

「……そういうことなんです」

と、スタッフさんが笑う。

「蓮見会長がいらっしゃると、ご来店のお客様も自然と増えて、売り上げも伸びるので」

「……人目を惹きますよね、あの方って」

「ええ」と頷いて、「だから、会長はお店の間ではいつも取り合いなんですよ。こちらには、いついらしてもらえるんですかって感じで」クスクスと笑った。



< 37 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop