ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
「いいえ緊張だなんて、むしろ大歓迎なくらいで…」
「大歓迎…?」
不思議にも感じて、尋ねると、
「蓮見会長がいらしてくれると、お店は喜ぶほどですから」
と、話した。
「……喜ぶ?」
会社のトップが訪れるのを、大歓迎な上に喜ぶだなんてと疑問にも思っていると、
「あれ、見てください…」
と、指を差された。
見ると、店内に立つ蓮見会長が目に入って、
ブルーグレーのスーツに身を包んで、長身をスッと伸ばした洗練された立ち姿は、店の内外から視線を集めていた。
「…ああ、そういうことですか…」
「……そういうことなんです」
と、スタッフさんが笑う。
「蓮見会長がいらっしゃると、ご来店のお客様も自然と増えて、売り上げも伸びるので」
「……人目を惹きますよね、あの方って」
「ええ」と頷いて、「だから、会長はお店の間ではいつも取り合いなんですよ。こちらには、いついらしてもらえるんですかって感じで」クスクスと笑った。