ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

-2-


ーー今日は、ロビーで過ごしてみようかなと思う。

受付と、いくつかのテーブルセットが並ぶ広いエントランスには、明るい光が降り注いで、

誰もが快活に仕事をしているようにも見えて、本当にいい社風だなと感じる。

なんだかそれは、あの蓮見会長の人柄そのままみたいにも思えてくる。

……仕事をがむしゃらに頑張ってきてみたいなことを前に話してたけど、一体どれくらいの力で努めてきたんだろうと……。

その思いを推しはかると、なぜだか胸がキュンとして、鼻の奥がツンとしてくるみたいだった……。


……ロビーで、スケッチをしていたら、

「また、絵を描いていたのかい?」

と、声をかけられた。

顔を上げると、会長が笑顔を向けていて、

「これから、ちょっと早めのディナーにでも行かないか?」

と、誘われた。



< 39 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop