ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

やがて、ワインのひと瓶が空いた頃になって……

私より先に、なぜだか会長の方が酔い潰れてしまっていた……。


「…会長、大丈夫ですか？ 蓮見会長…」

呼びかけても、カウンターに顔を伏せて動かないのに、どうしていいかわからなくなる。

「……お部屋を、お取りしましょうか？」

そこに、お店の方に言われて、

「…お願いします」

と、返した。

部屋を取ってもらい、向かう途中で、

「蓮見会長は、お酒には弱いんですか？」

ホテルのスタッフの方に尋ねると、

「そうですね…あまりお強い方では。ですが、こんなに酔ってしまわれることは滅多に……」

と、話した。

「きっと、お酒の席でのおしゃべりを楽しまれている内に、酔われてしまわれたんでしょうね」

言って、

「……とても楽しげでしたから」

笑うと、部屋のドアを開けて、

「……それでは、失礼します」

スタッフさんが一礼をして去って行った。

支えるようにして中へ入り、ベッドにその身体を横たえた。