ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
「もっと、私の身体を支えて、抱いていてくれないと……」
体重を乗せるように、もたれかかってきて、
「……抱いていてったって、だって……」
その重みと、しっとりと汗が混じって香るムスクの匂いに目眩すらしそうで、
のしかかられて、身体ごとベッドに倒されそうにもなる。
マズいですって、会長……そんな迫られたら、勘違いしてしまいそうで……。
無駄な抵抗だとわかりながら、身体を両手で押し返すのに、
「…熱い…早く」
人の気も知らない様子で、首筋に唇が付きそうな近さで急かされて、
「…わかりましたから、もう黙っててくださいって……」
スーツの上着を、仕方なく肩から落として、袖を一つずつ抜く。
脱がせたのをハンガーに掛けて、
「…これで、いいですか?」
確かめると、
「……まだ、熱い」
そう言われて、
「……えっと……」
と、困惑する。