ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

「……シャツもだ」

言うのに、

「それは、無理ですって!」

と、返す。

「……どうして?」

酔ってるんだか、誘ってるんだか知れない艶めいた表情な上に、

ほんのりと目の縁が紅くなった、まっすぐにも見れない潤んだような眼差しで、

(……会長、自覚が足りなさすぎなんですけど……自分がどれだけいい男なのか、意識してないんですか?)

熱っぽく見つめられて、

もうこうなったらどうにでもと、ネクタイに手を伸ばして、ほどこうとしたら、

「…うんっ、苦しい…」

と、苦悶に顔を歪めた。



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