ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
「……熱い」
責め立てるような言い方に、ひと息を吐いて、
「……だったら、ボタンだけ外しますから、おとなしくしててくださいね…」
シャツのボタンを一つ外したら、その手が今度はいきなりガッとつかまれた。
「え…何?」
突然のことに、何が起こったのか理解できない。
手首をきつく握り締めたままで、
「……君は、私のことは嫌いじゃないのか?」
視線を捉えられて、
「嫌いだなんて、そんな……」
答えながら、これって何を聞かれてるんだろうと、懸命に頭をめぐらす。
悪酔いしてるのかな……とも考えて、それが妥当な気がしてくる。
「……あの、お水でも飲みますか?」
少しでも酔いが覚めればと思って言ったのを、
「…いい」
と、遮って、
「……嫌いじゃないなら、一緒に寝てくれ」
と、ベッドに引っ張り込まれた。