ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

「……熱い」

責め立てるような言い方に、ひと息を吐いて、

「……だったら、ボタンだけ外しますから、おとなしくしててくださいね…」

シャツのボタンを一つ外したら、その手が今度はいきなりガッとつかまれた。

「え…何?」

突然のことに、何が起こったのか理解できない。

手首をきつく握り締めたままで、

「……君は、私のことは嫌いじゃないのか?」

視線を捉えられて、

「嫌いだなんて、そんな……」

答えながら、これって何を聞かれてるんだろうと、懸命に頭をめぐらす。

悪酔いしてるのかな……とも考えて、それが妥当な気がしてくる。

「……あの、お水でも飲みますか?」

少しでも酔いが覚めればと思って言ったのを、

「…いい」

と、遮って、

「……嫌いじゃないなら、一緒に寝てくれ」

と、ベッドに引っ張り込まれた。



< 48 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop