ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
……もし、私と飲んだのがそんなに楽しかったのなら、少し嬉しいかな……。
そう思っていたら、蓮見会長がシャワーから上がってきて、
裸の半身にバスタオルを巻き付けただけのかっこうに、目を見開く。
「…そ、そんなかっこで……!」
さすがにスーツがあそこまで決まるだけあって、引き締まった身体で……って、
違うからと、目の前から振り払おうとしたら、
今度は、夕べ言われた、『裸にしたいのか? 私を』という台詞がよぎって、顔が一気に真っ赤になる。
「……どうしたんだ? 青くなったり赤くなったりして……」
気づけば、厚い胸板が寸前にあって、
「…か、会長…ふ、服を……」
息が詰まりそうにもなる。
「…えっ? 服…?」
濡れた髪をタオルで拭きながら、
「汗が引いたら、着るから」
なんでもないことのように言う。