ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

……そうだった、この人って自覚がないんだった……。

ため息を吐いて、自分もシャワーに向かう。

「…やばい…絶対に、やばいって……」

口にしながら、シャワーを頭からかぶる。

あの無意識な色香を、どうにかしてくれないと、こっちがおかしくなりそうで。

色っぽいのも、いい加減にしてくださいと……頭を冷やすつもりで、水を全開にした。

「…冷たっ!」

寒さに震えてきそうになって、急いで身体を拭いて、服を着込んだ。

バスルームを出るとーーもう会長はシャツを着て、ネクタイを結んでいた。

その姿に、服を脱いでも着てても格好いいんだから、どうにかしてほしいと思う。


……ホテルで朝食を済ませると、

「一度、私の家に帰ってもいいか」

言われて、

「お送りします」

応えて、車を出したーー。



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