ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

車を運転して、帰宅の途に着くーー。

玄関の中に入ると、車から降りるなり、華さんが走り出て来て、

「まぁまぁ、朝帰りなんてされて、お2人で! 本当にもう、陽介様と来たら!」

と、まくしたてられた。

「…あ、いや…別に何もしてないから」

蓮見会長が口をはさんで、

「……そうだろ?」

と、私の方を見やる。

「ええ……」

頷くと、

「だったら、どうして朝帰りなんか?」

と、華さんが怪訝な眼差しを向ける。

「……酔っ払って、寝てしまったらしいんだ…」

言うのに、

「…まぁ、不甲斐ない…!」

と返されて、

「……これから、彼女とお茶でも飲みたいんだが、いいかい?」

蓮見会長が、話題をそらすように口にして、

「ああ、はいはい。お茶でございますね!」

と、華さんが中に戻って行く。


ーー邸へ招かれて、淹れていただいた緑茶を飲む。

「……おいしいですね」

口にすると、

「華さんの淹れたお茶は、本当においしいんだよ」

会長が応えて、

「ありがとうございます」

華さんが、にっこりと微笑んだ……。




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