ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

車を路肩に寄せたまま、

「……私を、楽しませてくれようとしたんだろ?」

そう話されて、申し訳なくも感じて下を向く。

「そんなに落ち込まないでくれ…」

困ったような顔で、

「…君は、何も悪くないから…」

なだめるようにも言われて、

「……少しだけ、こうしていてもいいか…?」

不意に、身体が抱き寄せられて、ドキリとする。

「……まだちょっと動揺してるんだ……私は、意外と臆病なのかもな…」

抱きつかれて、息が吐かれて、

「そんなことないですから……」

と、首を振る。




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