ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
……ピザを手に取って、
「……今度、息子と会ってくれないか?」
と、口にする。
「え…息子さんとですか?」
「ああ、まだ紹介してなかったからな」
仕事絡みで、紹介が必要なのかなと思う。
広報誌にはイラストが掲載されてるし、顔合わせもしておかないとならないのかもしれなかった。
「はい、わかりました」
と頷いて、
見れば、いつの間にかまたワインを飲んでるのが目に入って、
「…会長、ワインなんか飲んだら、また酔ってしまいますから……」
ちょっと咎めるような口調にもなる。
「これ一杯しか飲まないから、大丈夫だ」
言って、グラスを掲げる仕草は決まっていて、それ以上は何も言えなくなる。
ワイン……めちゃくちゃ似合うんだけど、弱いんですよね……。
飲んでる姿は、最高に嵌ってるんだけど、どうかもう酔わないでもらえたらと……。
出先で、あんな風にもなられたら、自分でもどうしていいかわからなくなりそうだった……。