ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

……ピザを手に取って、

「……今度、息子と会ってくれないか?」

と、口にする。

「え…息子さんとですか?」

「ああ、まだ紹介してなかったからな」

仕事絡みで、紹介が必要なのかなと思う。

広報誌にはイラストが掲載されてるし、顔合わせもしておかないとならないのかもしれなかった。

「はい、わかりました」

と頷いて、

見れば、いつの間にかまたワインを飲んでるのが目に入って、

「…会長、ワインなんか飲んだら、また酔ってしまいますから……」

ちょっと咎めるような口調にもなる。

「これ一杯しか飲まないから、大丈夫だ」

言って、グラスを掲げる仕草は決まっていて、それ以上は何も言えなくなる。


ワイン……めちゃくちゃ似合うんだけど、弱いんですよね……。

飲んでる姿は、最高に嵌ってるんだけど、どうかもう酔わないでもらえたらと……。

出先で、あんな風にもなられたら、自分でもどうしていいかわからなくなりそうだった……。



< 65 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop