ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
「……いつも父の送り迎えをしてもらって、ありがとうございます」
「いいえ、そんなこと……私も、楽しんで運転をさせてもらっていますので」
「……彼女は、本当に運転が上手なんだよ」
そう蓮見会長が口をはさむ。
「そうなんですか。そんなに上手なら、僕も乗ってみたいですね」
「……いえもう、普通に運転をしているだけですから」
と、緊張して渇いてくる口に、グラスの水を流し込む。
「……こないだも、長野の山にドライブに連れて行ってもらってな…」
「え…お2人だけで、出かけられたんですか?」
と、息子さんがこちらを見る。