ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
「珍しいですね? あなたが、女性の方とデートだなんて」
「……別に、デートではないが……」
「そうなんですか…?」
ふっと息子さんが笑って、
にわかに赤くなった顔を、
「……そんな風に言ったら、彼女も困るじゃないか」
会長が、うつむける。
「……鈴森さん、父のことを今後とも頼みますね」
「あ…はい、もちろんです」
「……秀司、おまえがそんな話をしなくても……」
蓮見会長が、眉間に皺を寄せる。
「……もしかして、まだ何も言ってないんですか? こうして僕にまで紹介をしておきながら」
「いいじゃないか……そこは、おまえが気にすることじゃないだろう」
照れているみたいな蓮見会長に、一体何の話をしてるのかなと、ぼんやりと考える。