ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

「……だけど、会長、あんまり先伸ばしにはしない方がいいですよ」

息子さんの言葉に、

「……だから、おまえが気にしなくてもいいんだ」

蓮見会長が、なぜだか憮然としたような表情になる。

「会長がはっきりしないと、女性社員のファンもやきもきしますからね」

と、息子さんが付け合せの野菜を口に運ぶ。

「……ファンなんて、いないだろうが……」

言う会長に、

「いますよ、知らないんですか?……僕よりずっと人気があって、妬けますから」

と、笑った。


本当に、いい息子さんだな……と、感じる。

(こんなに素敵に成長されたのも、会長の人柄が素晴らしいからなんだろうな……)

そう考えると、長く一人で育てられてきた思いが、深く胸に迫るようだった……。



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