ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
新たな一杯を口にして、
「……うまく言えなくて、すまない」
と、呟いた。
「それは、いいんですけど……もうお酒は、あんまり飲まれない方が……」
言うそばから、何か大事なことでも話し出そうとしてなのか、
煽るように、立て続けに飲むのに、
「……会長、酔ってしまいますから」
飲んでいるグラスを、手前に引き寄せる。
「……うん、そうだな……話す前に酔っ払ったら、元も子もないし……」
……そう言っていたのに、
案の定というか、予想通りというか、やっぱり蓮見会長は酔ってしまって、
また、ホテルの部屋を取ってもらうことにもなった……。