ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
息が吐かれ、離された唇に、
「……髭があたって、チクチクする…」
言うと、
「…え?」
驚いた顔をされて、
「…髭が、痛いです…」
クスリと小さく笑う。
「…痛いのか、髭が…」
くり返して、口元を片手で撫でさする。
「悪かったな…。痛いだなんて、気づかなかった」
「…いいんです」
「……痛いんじゃ、もう嫌か?」
「……嫌なんかでは……。……だけど、どうして会長みたいな方が、私を好きだなんて……?」
聞きたくなる。