ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」
「……好きになるのに、理由が必要なのか……?」
そう聞き返されて、
「……だが、好きになるだけの時間は、充分にあったはずだろ……」
甘やかで艶のある声音が、囁きかける。
「……はい」
としか、言えない。
見つめ合うだけで、何も言えなくなってしまう。
「……こっちへ、おいで。いっしょに寝よう…」
「…また、抱き枕代わりに…?」
「抱き枕? いや…違う」
背中に両腕をまわして、
「…違う。本当に、抱きたい…」
徐々に、体の重みで押し倒すようにしながら、
「……抱きたいんだ」
首筋に唇を付ける。