ダンディ・ダーリン「完璧な紳士に惑い、恋焦がれて」

「運転手を? 会長のですか!?」

思わず声が大きくなって、自分の口を両手で抑える。

「ああ、ついこないだ専属の運転手に辞められて、困っているんだ。悪いが、お願いできないだろうか?」

「…えっと…その、私みたいなのに、そんな大役を任せられてもいいんですか?

だって、会長みたいな方なら、もっときちんとした方とかが……」

考えながら喋るのに、

「……君だって、きちんとしていると思うが」

そう口にして、

「……私の運転手は、嫌かい?」

首を傾げられて、

「…い、嫌とかでは……」と、否定をする。

「私が、君にやってほしいんだ。頼むよ」

軽く頭を下げられて、

「そんな、頭を下げたりなんか!」

と、慌てて言う。


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