JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「おかえり、憧子さん」
「え、なんでっ…」
帰り着いた家では、思ってもない状況が待ち受けてた。
「なんとなくっ?
今日は俺が夕食作ろうかなって」
なんで今日に限って作るワケっ?
今までの休みには作らなかったくせに。
料理苦手なくせに…
「…あ、もしかして食べて来た?」
「えっ、ううん。ありがとう」
そんな響がせっかく作ってくれたんだから…
無理してでも食べるしかない。
玄関まで匂いを漂わせてたそれは、カレーで。
その具はやたら大きくて、そのルーは水っぽくて薄かったけど…
きっと、頑張って作ってくれたんだろう。
その微妙なカレーが、今日1番美味しい気がした。
とはいえ後半苦しくて、無理やり詰め込んでると…
「無理しなくていいよっ?
味も微妙だし…
ほんとは食べて来たんでしょ?
なのに、ありがとう」
申し訳ななさそうに笑う響。
「…
別に無理してない。
疲れててペースが落ちてるだけ」
意地でも全部食べたいと思った。