JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
そして「ちょっと待ってて」と、響はいったんその個室を出て…

ハーブティーを持って来てくれた。



「あ…

この香り…」


「ん、オレンジフラワーティー。
要は、ネロリのお茶だよ」



それは相変わらずいい香りで…

なんだか落ち着くし、癒される。


口に含むと広がって…
まるでその香りに包まれてるよう。



微かな苦味を秘めた、フルーティで穏やかな味わいを喉に通しながら…

個室内に目を向けて、ふと気付く。


きっとここはVIPルームで。
私の様子を察した響が、急遽用意してくれたんだろう…


けど。

時間いっぱい響に甘えて、このまま何もしなかったら…
この職場の人はどう思うだろうか?


部屋代や時間に相当する料金を支払ったとしても、響の立場を悪くする。

みんな一生懸命働いてる中で失礼だし、予約が取れなかった人にも失礼だ。


ここは悩み相談室じゃないんだし…
私は響に迷惑をかけに来たんじゃない。



「…ねぇ、響。
まだカラー、間に合う?」
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