JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「彼は建築士を目指す、他の大学の1コ先輩で…
その人柄に、すぐに惹かれた。

友達から恋人に発展して。
忙しかったけど、順調に愛を育んで。

お互い目指してた仕事に就いて。
交際から4年経った頃だった。


プロポーズされて、婚約中に…
彼は、仕事中の現場事故で亡くなった」


ピクッと響の指が、その内容に反応するように一瞬止まった。



「なんで彼が、って…
今でも思う。


当時はショックで、仕事どころじゃなかっただろうし…
それだけじゃなく。

彼の命を奪ったその業界に関わりたくなかったし…
…っ、それに携わる自分の仕事も嫌いになったっ。


彼が設計して、私が照明をデザインして。
いつかそんな家に住もうねって…

そんな、ささやかだけど幸せな夢も語ってたのにっ…
叶えられなくなった2人の夢が辛くて、その仕事が出来なくなった。


私は…
自分が目指した道からも逃げ続けてっ、向き合えないでいるっ…」


はらはらと、いつしか涙が溢れてた。
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