JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「響は、ちひろさんとの動画とか写真、ないの?」


「っ、うん…
こっちに来た時、全部消しちゃった」


「…そっか。

綺麗な人?」


「…うん、すごく。

あ、カラー流そっか」

とそこで、シャンプー台への移動を促される。


そして、そのリクライニングに身体を預けながら…
再び観覧車を見つめて、瞳を閉じた。



ー「すごく幸せそう…」

「うん、すごく…幸せだった」ー



本当はわかってる。


母さんが言うように…
努力はちゃんと、自分に戻って来てて。

頑張ったから、一真と出会えて愛し合えた。


それは、最高の幸せで…
人生のご褒美だった。

首元のネックレスに手をやり、ぎゅっとした。



なのにっ…




一真がいないのに。

今下降してる私の観覧車が、この先頂上を迎える事なんてあるのだろうか…



その時。


「あ…

っ、気持ちいい…」

さっきもそうだったけど、相変わらず響のシャンプーは極上に気持ちいい。


「だったら毎日するのに。

…ダメ?」


「…

いーけど…
じゃあ、お願いしようかな」



この日から、極上シャンプーと頭皮マッサージに癒やされる日々が始まった。





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