JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
唇はもちろん。
腕とか、太ももとか…

手首を噛み付かれて以来、あちこちにそれは繰り返されてて。


その都度身体が、ゾクゾクと疼いてたまらない。



だけど今までは噛むのを遠慮してたのだろうか…


「ねぇ、響は…
噛み付くのが好きなの?」

行為を終えて、そう尋ねると。


「…

そうみたいだね」


「そうみたい?」

自分の事なのに。


「…ん。
だってそうしたくなったのは憧子さんが初めてだから…

って、噛むのダメだった?」


「ううんっ、いーけど…」

私が初めて、って。


どうしよう…
胸が痛いくらい騒いでる。


なのに追い打ち。



「…

好きだよ、憧子さん」

そう囁いて、再び唇を重ねる響。


その新たな粉飾の言葉は、愛してるよりソフトなのに…

逆にリアルで、胸が激しく揺さぶられる。



「んっ…

私も好きっ…」

だけど何事もなかったように、いつもと同じく行為中のセリフとしてそう返すと…

響の瞳はなぜか、切なげに翳って見えた。


そして私は…
口にした好きという言葉に、ドキドキしていた。





< 164 / 321 >

この作品をシェア

pagetop