JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「あのさっ、手ぇ繋いでていいっ?」

帰り道、運転中の響にそう訊かれる。


「…いーに、決まってるじゃない」

今さらそんな事くらいで、何を遠慮してるんだろう…

そう思いながら、右手を差し出すと。


ありがとうと嬉しそうに、その指が絡められる。



それから2人で、サファリパークでの出来事なんかを語り合って…

ふと思う。


そういえば響は、地元に来る事に抵抗はなかったのだろうか?

自ら訪れたいはずもなく。
前回も今回も、辛くはなかったのだろうか…



ー「また叫ぼっか!

じゃあさ…
わかる事だけでも、俺にぶつけてっ?」ー


もしかして、私が塞ぎ込んでたから連れて来てくれたんじゃ…

本当はセミナーをキャンセルしたのも、息抜きじゃなくて私のためなのかもしれない。


そう思った時。

響の親指が私のそれを、つぅと何度かなぞってキュッとした。


思わず身体が、その愛しそうな仕草に反応して…
繋いでる手が汗ばんだ。


なんだか私まで、今さらそんな事が恥ずかしく感じて…
クールダウンを試みる。
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