JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「っ、響っ!」

呼び止めるような声を最後に…
すぐに響が戻って来た。


早々と車を出すその人に…

"せっかく会えたのに、このまま帰っていいの?"とか。
"向こうから声かけて来たんだし、ちゃんと話さなくていいの?"とか。


そう背中を押してあげたかったのに。

辛そうなその人を、受け止めてあげたいのにっ…


その時の私には、そんな余裕がなかった。




そう、出会ったあの日…

私に声をかけて来たのも。
身代わりの恋人関係を持ち掛けて来たのも。
かくまってという図々しい頼みに応じてくれたのも。

全部、私がちひろさんに似てるからで。


響は、その瞳に私を映しながら…

ちひろさんを見てたんだ。


だから、あんなにも優しくて…
寄り添って、支えてくれた。


私が必要なのもきっと、ちひろさんのコピーだからで…



どうしよう…

胸が痛くて、潰れそうっ…






だけど。

響は何一つ悪くない。


最初から、身代わりだと提言してた。



それを今になって私が…




私が。
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