JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
「ごめん憧子さんっ、もう戻るよ」

「あ、ねぇっ…」

電話を終えようとした響を、とっさに引き止めて。


「…仕事、頑張ってね。
酢豚作って、待ってる」

そう伝えると…


なぜか沈黙。

になるような事を言っただろうか?
内心焦ったところで。


「ヤバい、嬉しいっ…

憧子さんにそんな事言われたら、めちゃくちゃ頑張れる…」

感極まったような声が零される。


私のひと言で?

それはむしろ、こっちの方が嬉しくて…
胸が締め付けられていく。




そして迎えた夕食では。

酢豚はまあまあの出来だったにもかかわらず。
響はものすごく喜んで、幸せそうに食べてくれたから…

さらに嬉しさが胸に詰まった。





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