JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
あ…

久しぶりの、ただのキス。



ここ最近の、キスガムの時もそうだったけど…
好きな人とのキスは、異常なほど気持ちよくて。


なのにそれは片思いのキスで…

胸が切なく締め付けられる。



すると…

響の手が衣服を潜って、私の肌を捕らえた。


瞬間ゾクリと、快感が走る。



好きになってから初めての行為に、身体は敏感になっていて…

変な緊張感から身構えてしまってた私は、とっさに抵抗の素振りをしてしまう。



「っ…

ごめんっ、それどころじゃない時に…」

すぐに唇をほどいた響が、そう手を退けた。


えっ?

それどころじゃない、時?


そんな時を頭に巡らせ…

確かに記憶が覚醒してからは、塞ぎ込んでてそれどころじゃなかったけどと。

思い当たったところで、ハッとする。


そういえばプラトニックな状態は、その頃からな気がするし…

だとしたらその原因は、私が取り乱したから?



響は、そんな私の状態に寄り添って…
そっと見守ってくれてたんだ。


ー「あのさっ、手ぇ繋いでていいっ?」ー

そう、きっと…
そんな事すら遠慮するくらい。


そう思って、愛しさが込み上げる。
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