JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
愛しさが溢れて…


「ねぇ響っ…」

ベッドを降りて部屋を出ようとしたその人を、とっさに引き止めた。



ー「だったら俺が、その薬の代わりになるからっ」ー


「安定剤は…
その代わりは…

ずっと断薬、しなくていい…?」


途端その人は、目を大きくしたあと戸惑って…

すぐにこっちに戻って来ると。


「うん、いいよっ…
そんなの全然、しなくていい。

ずっと俺が、憧子さんの安定剤でいるからっ」

そう強く私を抱きしめた。


嬉しくてたまらなくなってると。



「じゃあさ…

やっぱりこのまま、結婚しないっ?」


ドキンと、またしても動揺させる漢字二文字。

だけど確かに、ずっとは結婚を仄めかしてると思ったところで…

ハッとする。


「っ、またその冗談?」


「…

うん。
だから憧子さんも冗談で返してよ」


「…

わかった」

冗談だし、今は…


ー「あなたの幸せを願ってる。

だから今度は、巡り合ったその人を大切にねっ?」ー


「…いいよ。

結婚、しよう?」

怖いけど、そんな夢くらいなら悪くない。
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