JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
だけどやっぱり、中途覚醒は続いた。


とはいえ、この前の月命日を境にずいぶんと治まってはいて…



そんなある日。

その日は響が休みだっだから、早く帰りたくて。
買い物は明日でいいかと、職場から家路を急いだ。


マンションに着くと、ちょうどエレベーターが使われた所で…

中途覚醒の改善に、運動がてら階段を利用する事にした。


でも普段の運動不足から、目的のフロアに着くなり壁に手をついて。
とにかく息を整えてると…

見えない通路の先から、扉の開く音がした。


なのに沈黙が保たれた、その矢先。



「…っ、千景っ」


「…久し、ぶり。

って、この前会ったけど…」


瞬間。

活発になってた心臓が、止まりそうになる。



それは、紛れもなく響の声で…

相手は、呼ばれた通りちひろさんに違いなくて。


どうしてここに!?

同じ疑問を、すぐさま響が投げかける。



「…なんでっ、…ここに?」


「っ、突然ごめんねっ?
お店の方に行ったら、今日は休みって言われて…

それで、おばさんに住所聞いて…」


得体の知れない不安で、胸がざわざわ痛み始める。
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