JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
だけど私はちひろさんのように…
居場所を取り戻して、響を孤独や罪悪感から救ってあげる事も出来なければ。


ただ響を…

一番に愛してあげる事すら出来ない。



迷惑や心配をかけることしか出来ないっ…




なにより、ちひろさんは。
響がずっと愛して、手に入れたくてたまらなかった人で…


ー「会いたいんだっ!
千景が好きなんだよっ…

ずっと!」


「愛してる!
愛してるよっ…

ごめんっ、愛してるっ…」ー

その切ない叫びが、頭の中に響きわたる。



そして、その人の本当の愛は…


ー「たぶんこの先も、千景以外愛せないんじゃないかなって」ー

全部、ちひろさんのもので。


なのに私との約束のせいで、身動き出来なくなってるのなら。

私が響に与えられる愛は、
してあげれる事は…


響を安心させて、この身代わり関係を終わらせる事。




ー「…じゃあ、誓いのキス。

憧子さんを、生涯守るよ」ー

この前の甘い冗談に、胸が切なく潰される。



でも、それでも…

両思いなのに結ばれない悲しさは、何よりもわかってるから。





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