JUN-AI 〜身がわりラバーズ〜
しばらく泣きじゃくった後…

私は立ち聞きを隠すために、買い物をして帰った。



「遅くなってごめんね?
すぐ夕食にするから」

でも泣き腫らした目は隠しようもなく、
すれ違いざまに腕を掴まれる。


「なんかあったのっ?」

なんかあったのは自分のくせに、こんな時でも私の心配をする響に…

また泣きそうになる。



「…っ、うん。
スーパーで偶然、母さんに会って…

落ち着いたら、また話すね」


それは作り話だけど…

心に寄り添ってくれる響は、いつも深追いはしないし。
さすがに今日は、そこまでの余裕はないのだろう。



その人は頬杖をついて、ぼんやりしてる事が多く。


時折、辛そうな表情を覗かせて…

その都度それが、胸を鋭く突き刺した。



ごめんね、響…




お互い言葉少なに早めの就寝をすると。


ちひろさんへの想いに遠慮して、近付けずにいた身体が…
グイと抱き寄せられて。

大事に、大事に、慈しむように髪が撫でられる。


それは、ずうっと続いて…



愛しすぎて、切なすぎて、涙を押し殺すので精一杯だった。





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